粘着の科学
粘着ついて
粘着という言葉は、粘り着くという現象をよくあらわしており、これを定義すると「接着の一種で、一時的な接着。僅かな圧力を加えただけで接着でき、硬い表面から剥がすこともできる」ということでしょうか。
粘着の現象
水などによって活性化されるのではなく圧力のみによって接着し、ついで凝集力、そしてそれが適用された面への付着という順になってくっつく。ここに圧力がでてくるが、圧力により、支持体の変形、粘着剤の変形と僅かな流れにより、被着体に対し良く付くと考えられます。
そして、一般の接着剤は液状であり、或いは加熱により液状になって、濡れを生ずるのに、粘着剤は固体状であります。実際は粘着剤は高粘度の液体であって、常温で他の物体表面を濡らす力をもっているが、その濡れの度合いは、液状である接着剤の方が、はるかに大きく、固体状である粘着剤は小さい。その濡れを少しでも接着剤に近づけるために、圧力による変形、流れの手段が用いられます。
しかし、この流動性が粘着製品の命です。任意の圧を加えた時に適当な流れを示し、若干の力では全く流動しないような粘着剤でないとはみ出しの問題がありますので真の粘着剤とは言えません。
以上のように考えてきますと粘着剤を作るには、随分、いろいろな条件を満たさなければなりません。従って、これらの条件を満たすには、物理化学的、コロイド化学的そしてレオロジーの問題を理解しないとなりません。
粘着の初期の挙動
高分子(被着体)がある液体に濡れないとか、よく濡れたとかいうことは、一般に高分子表面上で液滴がなす接触角で示される場合が多いのです。そして、接触角が小さいと、高分子表面上には親水性の基が存在し、高分子はよく湿潤されます。一方、接触角が大きいと、疎水性の基が存在し、湿潤されないといわれています。従って、接触角は高分子の濡れの指標になります。
この接触角が0の時高分子は、その液体によく濡れたことになり、この液体の表面張力を臨界表面張力と言います。この臨界表面張力が大きいほど液体と高分子の間に働く力が大きいと云えます。高分子と液体間に働く力は、高分子の凝集エネルギー密度に代わるものであります。高分子の凝集エネルギー密度と臨界表面張力の間には、比例関係があり、接触角について従来の定性的な見解が定量化されてきました。
粘着への挙動
よく濡れることは被着体によく付着し粘着する前提となります。濡れるだけでは、粘着出来ません。濡れた後は、その濡れが拡張して粘着する全面積を覆わねばなりません。このなじみ易さの度合いの表現として「極性」が使われます。高分子物質については、繊維の様に硬いものは極性物質といい、ゴムのように柔らかいものは非極性物質といいます。粘着剤には、流動性が不可欠な為に非極性物質を主に使いますが、使った粘着剤の極性と被着体の極性の差によって粘着力に差が出来ます。
粘着剤がそれ自身持っている粘着性を十分発揮したときに、真の粘着が可能になります。この粘着性は、粘弾性と接着力とが加味されたものとして解釈されます。即ち、粘着性の本質を司る凝集力(分子間の引っ張り合う力)は、凝集エネルギー密度として粘弾性的な性質を示して粘着しますが、その前に表面張力にも密接に関連して粘着力が現れるまでの接着力として、支持体と粘着剤及び被着体と粘着剤との間に濡れと接着の一連の現象にも関与します。
